2022-01-01から1年間の記事一覧
文庫で上下巻の計2冊。添付の画像は上巻。本屋で目にし、楠木健さんと富山和彦さんが推薦という帯に惹かれ、中身をパラパラ見たら結構面白そうだったので購入。 今はもう有名人となっているIT業界の起業家たちが、若いころにどんなビジネスから手を付け、紆…
実務でバリュエーションに関わったので、知識の欠損がないか簡単に振り返るために再読。初版は2001年と20年以上前だが、廃れるような内容ではないことに加え、読み手を腹落ちさせるために実務家の視点に徹して記述している本書は、今でもバリュエーション関…
少し前に本屋で話題の書として展開されていたので気になって購入。オス(男)とメス(女)という、何となく常識として受け入れてしまっている二元論を打ち壊してくれる本。 本書を読む前は、オスとメスという生物的な区別は明確なものだと無意識に考えてしま…
言わずと知れた名著。20代前半に読んだ記憶があるが、当時は仕事経験が少なかったこともありあまりピンと来ず、今読み返したらもっと学びが得られるだろうと考え購入。 この本に対して、「基礎的なフレームワークしか使われておらず、今のビジネスの現場では…
原始仏典(中村元著、ちくま学芸文庫)※筑摩書房HPより引用 仏教思想・インド哲学の大家である中村元氏が、原始仏教の経典を取り上げ、その要点を平易に解説している本。仏教の経典を自分で一から読み下していくことに高いハードルがある僕のようなアマチュ…
「ローマ人の物語」の著者である塩野七生さんが古代ギリシアの歴史を物語としてまとめた本。当時の人物や出来事が生き生きと描かれており、まるでついこの間起きたことだったかのように感じられる。古代ギリシア人の話は地理的にも時代的にも遥か遠くの出来…
本書をひと言で表すなら、神保町マニアによる神保町マニアのための本だ。おそらく一度も神保町を訪れたことのない人は、この本をなかなか楽しめないだろう。こんな小さな街の歴史が詳細に書いてある本の何が楽しいのかと。しかし神保町に幾度か訪れたことの…
哲学者の千葉雅也氏が書いた勉強論。勉強の方法論にも言及している点では実学書のようにも見えるが、一方で「勉強」という、僕たちが普段は普通に受け入れている言葉を深く掘り下げ、その働き・意味を取り出しているという点では、この本の真の姿は「哲学書…
インデックス投資家の水瀬ケンイチさんが書いた、インデックス投資の王道を説いた本。インデックス投資の特性や具体的な取り組み方について、とても平易に記載されている。 僕自身は前からインデックス投資を継続しているので、正直言うとこの本を読んで何か…
古典と言われる書物がどのように成立するのかを、文献学の観点ではなく本を受容する読者の観点から説明している本。1つ1つの章が短いエッセイのようだが、本全体としてはつながりを持っており、読み進めていくと「古典」という言葉の周りを包んでいる皮を一…
本書のテーマは「人間は猫により良い生き方を学ぼう」というものだ。猫の生態や特徴について語っていたり、猫の魅力をこれでもかと表現しているコンテンツは世に多くある。一方で、「猫がどういう人生観(猫生観?)を持っていて、それが人間の持つ人生観と…
書店で見かけ、インパクトの強いタイトルに強い興味を呼び起こされ購入。南北戦争以前のアメリカ南部では主にアフリカから「輸入」された奴隷を主要な労働力とした、綿花や砂糖等のプランテーション経営がなされていたが、その経営は北部の自由労働者を主体…
ビジネス書やビジネス系の記事を見ていると、ビジネスパーソンのキャリアについて、これからの時代に必要とされるスキルや、そういったスキルの習得方法といった、「武器を身に付ける」ことの重要性が語られていることが多い。言うまでもなく、一定レベル以…
ヘッジファンドBridgewater Associatesの創業者であるRay Dalioの著書。英文で500ページ以上ある大著だ。 ヘッジファンドの帝王という異名を持つDalio氏だが、僕らが「ヘッジファンド」という言葉を聞いて思い浮かべるものとは全く異質な考え方をベースとし…
14世紀から15世紀に生きた人文主義者ポッジョ・ブラッチョリーニが、晩年にブックハンターとしてヨーロッパ各地を巡り、ルクレティウスの「物の本質について」という本を写本し広めたことを契機として、ヨーロッパに住む人々のパラダイムが変化し、科学的な…
超ロングヒット作品である「ストーリーとしての競争戦略」で有名な一橋大学大学院の楠木健教授が、日立Webマガジン「Executive Foresight Online」に連載していた内容を、加筆・再構成のうえ新書として出版された本。ビジネス界においては知らぬ者はいないく…
「超訳ニーチェの言葉」など、哲学・宗教関連の啓蒙書で有名な白取春彦さんが独学について書いた本。独学の方法について語った本ではなく(一部そういったことも書いてあるが、本書の主題ではない)、独学とはどういうもので、どういった姿勢で独学に臨むべ…
以前に大変話題となった「ふしぎなキリスト教」と同じコンビかつ同じ形式で、仏教について簡単な疑問から出発して掘り下げていく内容。大澤真幸さんが聞き手となり疑問をぶつけ、橋爪大三郎さんがそれに答えていきます。 読んでいて楽しい。それでいてしっか…
古代ローマにおいて政治家として活躍し、引退後に歴史家としてローマの歴史を記したサルティウスが著者であり、彼が書いた2つの戦記を1冊にまとめた本。「カティリナ戦記」はローマの国家転覆を試みたカティリナの陰謀を、「ユグルタ戦記」はヌミディア王位…
経営戦略に関する様々な考え方を10のスクールに分類し、サファリツアーとして案内することで、読者に全体の見取り図を与える名著。 この本をcover to coverで読んでおけば、仕事で「戦略」という言葉を聞いても狼狽えることはなくなるだろう。その理由の1つ…
あのフロイト博士によるモーセに対する考察。分量が多くなく、論旨もクリアであるため取り組みやすい本。モーセがエジプト人であったという仮説を立て、ユダヤ教の歴史を振り返りながら1つの論考として紡ぎあげていっている。 本書の醍醐味は、フロイトの驚…
作家や翻訳家、研究者など、31の書斎に著者が訪問し、インタビューとイラストでその内実を描いている本。16冊目で紹介した「読書の腕前」から派生して手に取った。 31の書斎の中には図書館や本屋なども出てくるので、あくまで個人の書斎に限ったことではある…
室町時代の猿楽師である世阿弥が書いた能楽論。500年以上前に書かれた本だが、本質を語っているが故に不思議と古さは感じない。 全体を通して語られているのは、世阿弥による演劇論なのだが、その中核にあるのは「花」という概念だ。能において、観る者をを…
社会学者の橋爪大三郎がキリスト教、イスラム教、仏教といった世界の主要な宗教を取り上げて、それぞれがどのように世界を認識しているかという視点でエッセンスを解説している本。実際の講義をベースに作られているため、一問一答形式で書かれている。 専門…
一言でいえば、読書好きが読書好きのために書いた本。読書が好きな方であれば必ず楽しめる、面白い本。僕も著者ほどの本読みではないが、とにかく読書という体験は好きなので、非常に楽しめる内容だった。一つ一つの文章から、本の楽しさや読書活動の素晴ら…
クリエイティブディレクターの著者が、「センス」という誰もが知っているが実はよくわからないものを説明し、その磨き方を語っている本。非常に平易に書かれており、本を読むのに慣れている人なら1時間もかからずに読めるが、内容が薄い本ではなく、むしろ難…
本居宣長が描いた古学の入門書。古事記をはじめとした古学への取り組み姿勢や方法論などを初学者に向けて解説している本だが、古学を志す人でなくても一読すると様々な示唆が得られる内容だ。 国学で名を残した超一流学者の指南本であるため、随所につい膝を…
約50年前に書かれ、約30年前に邦訳された経営学の古典的名著。最新の学説が次々と発表され、分析手法が日進月歩する経営学という領域で、これほど古いテクストを読む意味がどれほどあるのかと穿った気持ちを半分持っていたが、一読してその気持ちは一変した…
そういえばちゃんと読み込んだことがなかったなと思い購入。2千ページ以上あるデータブックを通読してみるという荒行。ちなみに僕はインデックス投資家なので、個別株投資にはあまり関心がなく、本書を読む理由は日本にはどんな企業があるのかを知っておきた…
言わずと知れた名著。日本軍の本格的な研究でありながら、アカデミックな探求に閉じず、企業経営者のような実務家も唸らせるような実践的示唆を導出していることが、この本を名著たらしめているポイントだろう。ちなみに、執筆陣には日本を代表する経営学者…