書評・読書録
経営戦略に関する様々な考え方を10のスクールに分類し、サファリツアーとして案内することで、読者に全体の見取り図を与える名著。 この本をcover to coverで読んでおけば、仕事で「戦略」という言葉を聞いても狼狽えることはなくなるだろう。その理由の1つ…
あのフロイト博士によるモーセに対する考察。分量が多くなく、論旨もクリアであるため取り組みやすい本。モーセがエジプト人であったという仮説を立て、ユダヤ教の歴史を振り返りながら1つの論考として紡ぎあげていっている。 本書の醍醐味は、フロイトの驚…
作家や翻訳家、研究者など、31の書斎に著者が訪問し、インタビューとイラストでその内実を描いている本。16冊目で紹介した「読書の腕前」から派生して手に取った。 31の書斎の中には図書館や本屋なども出てくるので、あくまで個人の書斎に限ったことではある…
室町時代の猿楽師である世阿弥が書いた能楽論。500年以上前に書かれた本だが、本質を語っているが故に不思議と古さは感じない。 全体を通して語られているのは、世阿弥による演劇論なのだが、その中核にあるのは「花」という概念だ。能において、観る者をを…
社会学者の橋爪大三郎がキリスト教、イスラム教、仏教といった世界の主要な宗教を取り上げて、それぞれがどのように世界を認識しているかという視点でエッセンスを解説している本。実際の講義をベースに作られているため、一問一答形式で書かれている。 専門…
一言でいえば、読書好きが読書好きのために書いた本。読書が好きな方であれば必ず楽しめる、面白い本。僕も著者ほどの本読みではないが、とにかく読書という体験は好きなので、非常に楽しめる内容だった。一つ一つの文章から、本の楽しさや読書活動の素晴ら…
クリエイティブディレクターの著者が、「センス」という誰もが知っているが実はよくわからないものを説明し、その磨き方を語っている本。非常に平易に書かれており、本を読むのに慣れている人なら1時間もかからずに読めるが、内容が薄い本ではなく、むしろ難…
本居宣長が描いた古学の入門書。古事記をはじめとした古学への取り組み姿勢や方法論などを初学者に向けて解説している本だが、古学を志す人でなくても一読すると様々な示唆が得られる内容だ。 国学で名を残した超一流学者の指南本であるため、随所につい膝を…
約50年前に書かれ、約30年前に邦訳された経営学の古典的名著。最新の学説が次々と発表され、分析手法が日進月歩する経営学という領域で、これほど古いテクストを読む意味がどれほどあるのかと穿った気持ちを半分持っていたが、一読してその気持ちは一変した…
そういえばちゃんと読み込んだことがなかったなと思い購入。2千ページ以上あるデータブックを通読してみるという荒行。ちなみに僕はインデックス投資家なので、個別株投資にはあまり関心がなく、本書を読む理由は日本にはどんな企業があるのかを知っておきた…
言わずと知れた名著。日本軍の本格的な研究でありながら、アカデミックな探求に閉じず、企業経営者のような実務家も唸らせるような実践的示唆を導出していることが、この本を名著たらしめているポイントだろう。ちなみに、執筆陣には日本を代表する経営学者…
再読。本書は20歳前後で初めて読み、そこから何回か読み直している。良い本というのは、読み手が持つ問題意識に応じて様々な読み方ができる。だからこそ、良い本は時代を超えて残っていくのだ。「読書について」は分量は多くなく、読み方によっては時間をか…
あらゆる書店で平積みされており、NYTやWSJでも絶賛されているとの触れ込みが帯に書いてあり、テーマ的にも面白そうだったため購入。 タイトルには「限りある時間の使い方」と記載があるものの、本書を読めばわかるが、厳密には「時間の使い方」を論じた本で…
超良書。ビジネスにおける戦略とは何かを知りたければ、本書を読むことを強くお勧めする。販売価格は2,000円+税だが、僕は本書が3倍の値段であっても躊躇なく買う。それくらい素晴らしい本だ。 但し本書は、「戦略の作り方パッケージ」を教えてはくれない。…
「我思う、故に我あり」というキーフレーズで有名な書。元々は大著だったが、現在「方法序説」として知られている文書はその序文とのことで意外と分量は少なく、また哲学書にありがちな形式ばった文体ではないため案外読みやすい。 内容はというと、唯一神を…
世界的に有名な仏教学者である鈴木大拙による禅についての著書。「禅思想」「禅行為」「禅問答」という3つの章立てで、禅の古典を引用しながら禅の本質に迫る本格的な内容。(いかにも岩波文庫に収められていそうな本書だが、意外にも第1刷発行は2021年3月…
西洋哲学史上の重要人物の思想を紹介しながらも、「哲学的な考え方」も同時に伝えるという、2つのことを高次元で両立している良書。 一般的に上記の2つを両立させることは難しい。西洋哲学史を網羅的に記述し、紹介している本は多く存在する。しかし「歴史を…
この本を読んで驚くのは、三島由紀夫の感受性だ。言うまでもなく表現力も頭抜けているが、やはりその感受性に圧倒される。 三島が訪れているのは、北米、南米、欧州といった場所だ。こういった場所に訪れる経験は、執筆当時では珍しいものだったかもしれない…
オリジナリティとは何か。そしてオリジナルな人と、そうでない人とを分ける要素は何か。こういった、オリジナリティに関わるテーマは多くの人が並々ならぬ関心を持っているだろうが、なかなかスパッと明快に説明することが難しいテーマである。 何故ならオリ…
著者のドリー・クラークは存じておらず、本屋でたまたま手にとって読み始めた本だったが、人生やキャリアにおける戦略を考える上で、重要な示唆を多く示してくれる良い本だ。 私にとっては、忙しい日々を送っているとついつい忘れてしまいがちだが重要なポイ…
本書全体を通じて提示されている、「自分自身の人生におけるダウンサイドリスクを受け入れて生きよ」というメッセージはとても共感を持てる。 特に次の3つのポイントは大きな学びだった。 1つ目は、「身銭を切る」ようになると、今まで無味乾燥に見えていた…
アリストテレスの「ニコマコス倫理学」を読んだことがあるだろうか。 倫理学を確立した本で、後世にも多大な影響を与えたスゴい本である。 「今回はこの本をわかりやすく大解説!」と言いたいところなのだが、アリストテレスの名著を解説するなどというのは…