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学びの集積

0012冊:会社四季報ワイド版 2022年3集夏号(東洋経済新報社)

そういえばちゃんと読み込んだことがなかったなと思い購入。2千ページ以上あるデータブックを通読してみるという荒行。
ちなみに僕はインデックス投資家なので、個別株投資にはあまり関心がなく、本書を読む理由は日本にはどんな企業があるのかを知っておきたいという単純な知的好奇心からである。

通読はさすがに挫折するかなと思ったが、いざ始めてみると意外と面白く、毎日少しずつではあるが楽しく読み切った。
例えば、同業種で売り上げも同水準なのに時価総額が全く異なる(時価総額が相対的に高い会社と低い会社がある)ことや、メディアで名が売れている会社だからといって市場からの評価(時価総額)が高いわけではなく、(僕が無知なだけの可能性も高いが)一般的には全然名の知られていない質実剛健な会社が驚くほど高い時価総額をつけられているケースも多い。

こうしたデータブックにあたることは、自分の頭の中に、1つの領域に係る見取り図をバイアスを排除しながら獲得する上で非常に役立つ。人は想像以上に「イメージ」や「印象」で物事を理解し、わかったつもりになっていることが多い。数年前に流行ったファクトフルネスという本は、多くの人が自然と持ち合わせている世界に対する認識バイアスをファクトを示すことで修正するという主旨の内容だったが、会社四季報は日本の上場企業に関する主要なファクトを示し、勝手なバイアスを正してくれるという意味で同様の意味を持つ。
(但し、会社四季報はデータだけでなく執筆チームが記載する期待や予測等も含まれているため、ピュアなデータブックではない点のみ、注意が必要。)

「そもそも世の中にはどんな会社があり、どのようなビジネスをやっているのだろう」という素朴な疑問を持った時には、一度手に取ってパラパラと通読してみることをお勧めする。ネットで様々な企業を調べるよりも遥かに簡単に全体像が掴める本書は、2-3千円(サイズにより価格が異なる)の価値は十分にある。