経営戦略に関する様々な考え方を10のスクールに分類し、サファリツアーとして案内することで、読者に全体の見取り図を与える名著。
この本をcover to coverで読んでおけば、仕事で「戦略」という言葉を聞いても狼狽えることはなくなるだろう。その理由の1つは、古典的な考え方から比較的最近出てきた考え方まで網羅的に戦略の考え方をカバーしている点だ。なにしろ世界最高の経営思想家とも名高いミンツバーグが著者の1人である。経営戦略の考え方やフレームワークといったものをまとめた本は世の中に多く存在するが、下手な本を読むよりは本書で全体像を鳥瞰した方が確かな知識と視点を得られるはずだ。
そしてより重要なこととして、各スクールの考え方を整理した上で、その特徴と課題をしっかりと指摘していることが挙げられる。本書を読むとよくわかるが、経営戦略のような分野は純粋科学ではないため、各時代や環境によって有力とされる考え方が変わっていく。一つの環境をより良く説明できる考え方はあるかもしれないが、だからといってその理論が完璧なものであらゆる場面に適用できるわけではない。た