言わずと知れた名著。20代前半に読んだ記憶があるが、当時は仕事経験が少なかったこともありあまりピンと来ず、今読み返したらもっと学びが得られるだろうと考え購入。
この本に対して、「基礎的なフレームワークしか使われておらず、今のビジネスの現場では当たり前になってしまっているので学びが少ない」という意見を聞いたことがあるが、僕は全くそうは思わなかった。
フレームワークが最新のものかどうかは、それほど重要ではない。大切なのは使い方である。どういう文脈で、何を意図して、どのようにフレームワークを使うのか、ということの方が、実際に仕事をする上では遥かに重要だ。
そしてその使い方を学ぶためには、通常仕事の現場で試行錯誤しながら学ぶしかない。机上でフレームワークの「形」は学べても、「どう使うか」は決して学ぶことはできないからだ。机上から現場へとジャンプすることには大きなハードルがある。
しかし、本書のようなリアリティのあるストーリーで仕事の学びを与えてくれる本は、机上と現場の橋渡しの役割を果たしてくれる。机上のフレームワークだけではなく、具体的なコンテキストをセットにして「どう使うか」の事例を示してくれるからだ。
「どう使うか」の部分は陳腐化しない。本書が長らく名作として読み続けられている理由はそこにあると思う。まだ読んでない方は、「当たり前のフレームワークが使われている」と考えずに、ぜひ手に取って読んでみてほしい。