nano-blog

学びの集積

0041冊:ウォール街のランダム・ウォーカー(バートン・マルキール著、井出正介訳、日本経済新聞出版社)

ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> バートン・マルキール(著/文) - 日本経済新聞出版社

インデックス投資の種本とも言うべき株式投資に関する不朽のベストセラー。序盤からテクニカル分析やファンダメンタル分析といった有力とされている手法を片っ端からぶった斬り、市場平均に勝てる投資家はほぼ存在しないことをデータを使って証明していった上で、個人投資家が資産を増やすには下手にガチャガチャと取引するよりも、とにかくインデックスをBuy & Holdする方が合理的ということを証明していく内容。

正直言うと、今やかなり通説となりつつある「ほとんどの個人投資家にとって、インデックス投資が合理的」という結論だけを得るのであれば、本書を手に取る必要はないだろう。もっと簡略化して同じ結論を解説している本は世の中に多く出ている。その大部分はおそらく本書が種本で、その内容を焼き映して書かれているだろうから、当然同じ結論が示されているはずだ。

本書は、インデックス投資の基本は理解しつつも、その裏付けとなる考え方を更に深掘っていきたいという、知的好奇心溢れる方々が手に取るべき本である。約500ページに亘って、インデックス投資だけではなく、株式投資にかかるあらゆる「なぜなぜ」に答え続けている本書は、裏のロジックを知らないと気が済まない人を満足させる内容が含まれているだろう。

投資の世界は、新しい投資手法や理論が次々と出てくるものだが、本書のような原理原則を説く本を礎にしておくと、軸をブラさずに基本のキに立ち戻って投資を続けられる。変わらぬ原則を示し続けることこそが、本書の大きな価値だと思う。