僕は健康維持+αくらいのレベルで筋トレをしており、トレーニング方法を学ぶためにたまにYoutubeでトレーニングの解説動画を見る。
そんな中で以前、以下の動画に出会った。カイ・グリーン(Kai Green)というアメリカのボディビルダーが自身のトレーニングに関する考えを語っている動画だ。
カイ・グリーンが語っているのは、ジムでトレーニングしていると、重いウエイトを挙げ、周りの人に「あいつ凄い重量を挙げてるな…」と思わせたくなるものだが、重量を求めるのはウエイトリフターであり、ボディビルダーの持つべきスタンスではないということである。
ボディビルダーは筋肉を伸長・収縮させ、筋肉に刺激を与えることが目的であり、重さはそれに付随する要素ではあっても、決して目的とはならないと説いている。
ここでカイ・グリーンが話しているのはトレーニングについての考えだが、彼の指摘している点は本質的かつ普遍的なものだ。つまり、決して本当の目的を見失わず、その目的の達成に資する行動のみを行うこと。そしてその行動がとれているかどうかを、客観的な視点で捉え続け、目的達成への道から逸れていないかどうかを監視し続ける、という考え方である。
当たり前のことのようで、そして簡単にも聞こえるが、実は多くの場合で僕たちはこんな当たり前のことができていない。目的に適う行動をしているようで、現実には似て非なる方向に進んでしまっている。カイ・グリーンに言わせれば、「ほとんどのヤツはボディビルダーとウエイトリフターの違いを分かっていない」。
カイ・グリーンの語っている要素を整理・分解して考えてみよう。おそらく以下のような感じだろう。
- 目的:ボディビルダーとして筋肉を求める形で発達させること
- 目的達成に必要な行動:筋肉に刺激を与えるためのトレーニング
- 行動の正しさを捉える視点:筋肉が十分に伸長・収縮できているか
多くの人は、最初は目的に資する行動をしていたのだろう。然し、より強い刺激を筋肉に与えるためにウエイトを高めていくなかで、「刺激を与える=重いウエイトを扱う」と考えるようになってしまい、実はもっと効果的に刺激を与える方法(それほどウエイトを上げずに、丁寧に筋肉の伸長・収縮を行うという当たり前のトレーニング)があることに気づかなくなってしまう。「目的」は見えているはずなのに、「行動」と「視点」がズレてしまうということだ。
仕事やキャリアにおいても、同様のことがあらゆる場面で発生している。利益を上げることが目的のはずなのに、売り上げを上げる行動ばかりとっていてダブダブになっているコストを削るための行動に移れていない。世界中の企業との競争が求められる業界なのに、国内の競合他社の動向を追ってばかりいる。年収を上げることが目的のはずなのに、実は年収向上にあまり繋がらない資格を盲目的に勉強してしまっている。よくある話だ。
シンプルな目的思考を導入し、ブレることなく実践し続けることができれば、1流になれる可能性が拓けることを、カイ・グリーンは教えてくれる。僕たちも「ウエイトリフターにならない」ように、常に自分の行動を立ち返ることが大切だ。