nano-blog

学びの集積

0049冊:現代フランス哲学入門(川口茂雄/越門勝彦/三宅岳史 編著、ミネルヴァ書房)

f:id:lukas2:20230119080607j:image

「きちんと知りたい」に応える、というシンプルなテーマで書かれた現代フランス哲学に関する入門書。19世紀以降の120名ものフランス哲学者を紹介している。

この本が素晴らしいのは、「きちんと知りたい」がちゃんと徹底されていることだ。つまり、とてもわかりやすく、かつ薄っぺらくもない、知的欲求が満たされる内容が提供されている。

僕はこれまで、哲学の入門書と言われるものを買って後悔したことが何度もあるが、それは煎じ詰めると「きちんと知りたい」に応える本が少ないからだと考えている。多くの入門書は、入門書という割には小難しくて全く哲学道場に入門できないか、あるいはあまりに簡略化され過ぎていたり恣意的にまとめられていて、「こういうことが知りたいわけじゃない…」という気持ちにさせられてしまうか、どちらかである。

本書はそのどちらでもない。安心して読める入門書だ。「きちんと知りたい」に応えることは意外と難しいことであり、そもそも難解な現代フランス哲学で、120名もの哲学者を紹介しながら「きちんと知りたい」に応えることを徹底しているのは素晴らしいことだと思う。おすすめの一冊。