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学びの集積

アンテナを磨くことの重要性

自分のやりたいことや得意なことをやろう、という話はよく出てくる。自分を抑圧せず、自由に考え、行動しようと。だが最近思うのは、多くの人は自分のやりたいことや得なことを抑えているわけではなく、自分のやりたいことや得意なこと自体がよくわからなくなってしまっているし、しかもそれが特に珍しいことではないのではないか、ということである。

自分のやりたいことや得意なことに取り組む前に必要なことは、おそらく自分のアンテナを磨き、自分の好きなことや得意なことを掴むことだと考えている。アンテナを磨かずにいると、「やりたいことをやっているつもりが、実は全然やりたい事じゃなかった」という意味の分からない状態を生んでしまう。

 

自分のアンテナを磨くには、とても逆説的だが、他人からの言葉に耳を傾けてみることが大事だ。何故なら、「自分が勝手に好きだったり、得意だったり勘違いしている」という状態から、自分の頭だけで抜け出すのは難しいため、「○○さんは、こういうことが好きだよね」だったり、「さらっとこういうことできるのはすごいよね」といったフィードバックを受け取ることで、勝手な勘違いを修正していくことができる。

 

自分の例を挙げると、社会人になる前やなった直後くらいの僕の自己認識は、「ロジカルシンキングが得意」で、「コミュニケーションが苦手」というものだった。
しかし、社会に出て数年経ち、想像がつかないくらい優秀な人に囲まれて過ごしていると、僕なんかより遥かにロジカルに考えることができて、ぐちゃぐちゃになっている仕事をあっという間に整理し、解決の糸口を見つけることができる人がたくさんいることが分かった。要は、僕は全然ロジカルシンキングが得意なわけではなく、勘違いだったわけだ。

一方で、苦手だと思っていたコミュニケーションは、意外にも評価してくれる人が増えてきた。他人とすぐに距離を詰めるようなコミュニケーションができるタイプではないが、色々なタイプの人とフラットに付き合い、相手にとってわかりやすい言葉でコミュニケーションすることは、どうやらやや長けているようだった。これは自分では認識できていなかった「得意なこと」であり、他人の言葉に耳を傾けないと気づけなかったことだ。

好きなことについても同様で、勝手に好きと思っていたことが、他人の言葉で相対化され、逆に対して好きだと思っていなかったことが実は好きなことだったという気付きを得られた経験は少なからずある。

 

好きや得意を知っている、と思い込まずに、まずはアンテナを磨いて本当の好きや得意を知ってみる。これが、自分にとって面白いキャリアを築き、愉快に人生を過ごしていく上での秘訣ではないかと、僕は密かに思っている。